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タカハシ ワタル
TAKAHASHI Wataru
高橋 亘 所属 大阪経済大学 経済学部 経済学科 職種 教授 |
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言語種別 | 日本語 |
発行・発表の年月 | 2024/02/19 |
形態種別 | 大学・研究所等紀要 |
標題 | 物価と賃金の好循環に関する疑問 |
執筆形態 | 単著 |
掲載誌名 | RIEB Discussion Paper Series No.2024-J02 |
掲載区分 | 国内 |
出版社・発行元 | 神戸大学経済経営研究所 |
概要 | 2%目標を上回るインフレが継続する中で、物価(インフレ)と賃金の好循環へ期待が寄せられている。だが、インフレによって実質賃金が上昇することは論証されているわけではない。実際、インフレと景気の標準的な経済モデルであるフィリップス曲線では、生産性の上昇がないときに景気拡大を生むのは実質賃金の低下である。また実質賃金の上昇は好循環ではなく悪循環を生むことが示される。インフレ率以上に名目賃金が上昇し、その状態が持続的・安定的であるためには、生産性(収益性)の上昇が必要となる。だが実質賃金の上昇のためインフレ率を基準として経済全体で一律の賃金上昇を行えば、経済の中の生産性格差の存在から、インフレ率は不安定になるおそれがある。賃上げはインフレを基準に一律に行なうのではなく、個別企業の経営戦略の一環として、収益性向上を目した施策として行われるべきであろう。インフレのみを基準とした賃上げは、経済にとって必要な論点をあいまいにしかねない。視点のずれた議論で、再び貴重な時間を無駄に費やしてはならない。家計の経済厚生の向上のためには、賃金上昇は重要だ。その実現のためには、企業の収益性向上・高付加価値化にむけた積極的な経営が求められる。いま最も期待されるのは経営者の起業家精神の発揮である。これはまた経済全体の成長率強化につながる。 |
researchmap用URL | https://www.rieb.kobe-u.ac.jp/academic/ra/dp/Japanese/dp2024-J02.pdf |